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胃がん
概要
胃がんは胃の粘膜から発生する悪性腫瘍で、病気の進行度(病期、ステージ)によって治療方針が異なってきます。胃がんの進行度は、がんが胃の壁のどの深さまで進んでいるか(T、深達度)、リンパ節転移がどの程度あるか(N、リンパ節転移個数)、遠くの臓器への転移があるか(M、遠隔転移)で決まります。
症状
早い段階では症状が出ることは少なく、かなり進行した場合の代表的な症状は、食欲不振、腹痛、嘔吐、吐血などです。しかし、これらの症状は胃がん特有の症状ではなく良性の胃潰瘍でも起こります。したがって、胃薬で様子をみるだけではなく医療機関を受診して検査を受けることが重要です。
検査方法
- 胃内視鏡検査
- 胃レントゲン検査
- 腹部CT検査
- 腹部超音波検査 など
治療方法
内視鏡的胃粘膜下層剥離術(ESD)
胃粘膜内がんに対して、消化器内科の先生を中心として、内視鏡的胃粘膜下層剥離術(図1)を行っています。外科的手術に比較して身体に優しい治療と考えています。
腹腔鏡下胃切除術
当科では早期胃がん、一部の進行胃がんやGISTを始めとする胃粘膜下腫瘍に対して、腹腔鏡を用いた傷の小さな手術を行っています。胃がんに対する鏡視下手術は、1991年から25年以上の歴史があり、手術手技は定型化されてきています。
開腹胃切除術
胃がんの進行度(図2)にあわせた適正手術を基本とし、胃切除後障害の一つである残胃炎およびダンピング症状軽減する吻合法(図3)や神経温存、幽門保存(図4)などの機能温存手術を行っています。
術前化学療法、放射線療法
腫瘍を小さくしてから手術を行うことが望ましい方に対しては、まず化学療法を行い、その効果を見てから手術を行っています。また、限られた条件下ではございますが、近隣の放射線治療施設と協力し、局所放射線療法を行っています。切除困難症例に対する放射線化学療法で、病巣が消失したと考えられる症例(図5)を経験しています。
参考
図1)内視鏡的胃粘膜下層剥離術
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出典:オリンパス「おなかの健康ドットコム」より
図2)胃がんの進行度
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出典:「胃がん治療ガイドラインの解説」より
図3)残胃炎およびダンピング症状を軽減する幽門再建術(IRB承認)
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図4)幽門保存胃切除術(PPG:pylorus preserving gastrectomy)
胃の出口に相当する幽門部を一部残すことにより,ダンピング症候群や十二指腸液の胃内逆流を防ぐことを目的としています。その他,胃に付着している大網を残し,癒着を軽減させ腸閉塞を予防します.また,胃周囲の迷走神経を温存することにより,下痢や胆石症の発症頻度を低くします。
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出典:「胃がん治療ガイドラインの解説」より
図5)放射線化学療法の有効例
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胃噴門部小弯側に2/3周性のType2病変 腫瘍は平坦化し,びらんを認めるのみ