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ドクターが教える!病気あれこれ

肛門疾患

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肛門領域の疾患は非常に複雑かつ繊細であり、個々の患者に合わせて注意深く治療や経過観察を行う必要があると考えられます。以下に代表的な肛門疾患を列挙します。

内痔核(脱肛、いぼ痔)

内痔核の分類

一般的に「いぼ痔」と呼ばれるものです。排便時のいきみや力仕事、妊娠等により肛門の血流にうっ血が生じ、いぼ状にふくらんだものを内痔核といいます。
症状として多いものは、「出血」と「脱出(腫れたり、とび出てくること)」です。
脱出しない痔核は薬で対処できますが、頻繁に脱出する痔核や、脱出したまま戻らない痔核には手術による治療が必要です。(表1参照)

血栓性外痔核

いわゆる「血まめ」です。下痢や便秘で強くいきんだ場合に肛門粘膜の静脈に鬱血が生じ、肛門の外側に血栓(血のかたまり)ができます。血栓は硬いしこりとして触れ、強い痛みを伴うことがあります。

小さい血栓のほとんどは軟膏で治りますが、大きい血栓や痛みが強いもの・薬で治らないものなどは、切開して血栓を取り除く治療を行う必要があります。

痔核に対する治療としては、PPH法(Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)や結紮切除法、ジオン注による治療、等があります。症状が軽ければ日帰り手術で済みますが、入院・手術でないと治療できない場合もあります。

◆PPH法 (Procedure for Prolapse and Hemorrhoids)

PPHはProcedure for Prolapse and Hemorrhoidsの略語ですが、自動縫合器による内痔核および脱肛の吊り上げ固定術という手術法とその機器セットの両方を意味しています。これはゆるんだ肛門組織を吊り上げて元の位置に戻すことで症状をなくす手術です。痛みを感じる肛門上皮と皮膚には傷ができないので、従来法(結紮切除法)より術後の肛門がきれいで痛みも小さいという利点があります。PPH法では痔核自体を切除しませんが、粘膜の切除と同時に静脈叢の上部にある血流も断つため、術後しばらくすると痔核は自然に退縮します。一般的に内痔核の手術では、動脈の血流を断つ方法を根本治療と称していることからPPHは根本治療だと言えます。

◆結紮切除法

最も一般的な治療法で、痔核につながる動脈の血流を糸で縛って断ち、痔核を切除する方法です。

◆ジオン注

硫酸アルミニウムカリウムやタンニン酸を主成分とした薬物を痔核内に注入することによって急性炎症を惹起し、その炎症修復反応である肉芽形成を経た線維化により、脱出した痔核を退化・退縮させる治療法です。平成16年に認可された、新しい治療法です。手術をせずに治療ができますが、切除するよりも再発率が高いというデメリットがあります。

痔核は治療後も再発の可能性は残っています。治ったと安心して無理をしたり、生活習慣が乱れて便通がコントロールで不良になったりすると、再発の可能性は高まります。便秘や下痢をしないような日常生活の習慣や食事に気をつけること、治療時に受けた生活上の注意点などを守りつづけることが何よりも大切です。初期なら保存的な治療でほとんど治るので、症状があれば早めに受診することが重要です。

肛門周囲膿瘍・痔瘻(じろう)

肛門の周囲には肛門陰窩というポケットが存在し、そのポケットに膿がたまった状態を肛門周囲膿瘍といいます。肛門部に生じる感染症の1種であり、肛門のまわりが腫れて激痛が続いたり、発熱を伴う場合もあります。

肛門周囲膿瘍が進行すると、肛門陰窩(ポケット)と皮膚の間にトンネルが出来上がります。これが痔瘻です。痔瘻の症状としては、肛門の近くにできた穴から膿が出続けたり、腫れて痛みが出たりします。

痔瘻は薬では治らないので、手術が必要となります。

痔瘻を放っておくと複雑化することがありますので、早めの治療が必要です。

裂肛(切れ痔)

通常「切れ痔」と呼ばれており、女性に多い病気です。

かたい便が肛門を無理に通過したために、肛門の出口付近が切れて裂肛となります。

軽症の裂肛であれば、便通の改善を行い、軟膏を使用することで治すことができます。

裂肛が慢性化して潰瘍になり、皮垂(みはりいぼ)や肛門ポリープといった突起が出現する段階になると薬で治すのは困難です。この場合には手術をお勧めしています。

肛門ポリープ

排便のときに、コリコリした小さくて硬いものが出てくる場合は、肛門ポリープの可能性があります。肛門ポリープは慢性の裂肛に合併することが多く、また炎症で起こるポリープなので、大腸ポリープと違って癌になる心配はありません。

しかしポリープは薬で治ることはないため、治すには切除するしかありません。

肛門癌

肛門の出口から3〜4cmの範囲内に起こるまれな癌です。痔核などと間違われやすい疾患です。肛門にできる癌には色々な種類があり、手術や放射線療法など、癌の種類によって治療方針が異なりますので、しっかりとした検査を受け、治療方針を立てる事が重要です。

その他

妊婦の肛門疾患

妊娠期には腹圧の上昇や肛門粘膜血流の鬱滞が生じ易いことから、痔核や裂肛が多く見受けられる傾向があります。痛みが激しくて耐えがたい時には、妊娠中期に限って手術することもありますが、可能であれば妊娠前に治療をしておいた方が無難です。

出産後しばらくすると、症状は自然と軽快する事が多いです。

小児の肛門疾患

小児の肛門疾患で、排便のときに痛がる、出血するという訴えの多くは裂肛が原因です。

便が硬いことが多いので緩下剤で便を軟らかくし、軟膏をしばらくつければ早期に治る事が多いです。乳児の男の子で、肛門の周りが腫れたり膿んだりする場合には、たいてい痔瘻です。

膿がたまったらその都度出してやれば、ほとんどの場合そのうち自然と治ります。

小学生くらいになっても膿が出続けるようなら、手術も考慮する必要があります。