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化学療法
がん化学療法
がん化学療法は、抗がん剤や分子標的治療薬と呼ばれる新しい薬を用いて、がん細胞の死滅・減少を目指す薬物療法です。手術不能進行・再発がんに対するメインの治療とするだけではなく、手術範囲の縮小を目指す目的で行われる術前化学療法、あるいは、再発を予防する目的で行われる術後補助化学療法など、治療は多岐にわたります。当科では、食道がん・肺がん・乳がん・胃がん・大腸がん・膵臓がんなど、様々ながんに対する化学療法を行っています。
投与方法は、主に点滴と内服に分けられます。点滴投与の際も、当科では最近は入院をせず、点滴専用のポートを皮下(主に左鎖骨下の辺り)に埋め込み、外来で行う場合がほとんどです。2008年5月から、外来に専用の治療室(10床)を設け、がん化学療法看護認定看護師を配置しています。
(外来化学療法センターのページをご参照ください)
ひと昔前の化学療法は吐き気が強く、患者のQOL(生活の質)を大きく損ねていましたが、近年は吐き気などの辛い副作用に対する新しい制吐薬が次々と開発され、患者の苦痛が軽減しています。当院では日本癌治療学会で作成された「制吐薬適正使用ガイドライン」に基づき、患者の苦痛を減らすよう努めています。副作用が少なければ、社会生活も不自由なく過ごすことが可能で、実際、化学療法を受けながら仕事をされている方も多数いらっしゃいます。
再発、あるいは、切除不能のがん患者に対する化学療法の進歩は目覚ましく、以前なら数か月で死に至ってしまう状態の患者であっても、化学療法を行うことで、2~3年間良好なQOLを保ち、生活することができるようになりました。
日本は高齢化に伴い、がん患者も高齢者が増加しています。以前は、高齢というだけで化学療法の適応から外されていましたが、当科では80歳以上の患者においても、希望があれば化学療法を行っています。
患者が安心かつ安全に治療を受けられるよう、担当医師は患者およびご家族と十分に話し合った上で適切な治療を選択・施行し、薬剤師は治療計画の確認と無菌的な薬剤の調製を行い、看護師は体調確認・投与管理・副作用の観察・日常生活に関するアドバイスを提供するなど、多職種で患者をサポートしています。このように当院では「化学療法チーム」が一丸となって、ひとりひとりの患者に合った治療を提供しています。
以下、当科で行っている化学療法です。
- 食道がん:5-FU+CDDP+DOC(DCF)療法、5-FU+CDDP(FP)療法など
- 胃がん: TS-1+CDDP療法、Weekly PAC(またはDOC)療法、CPT-11療法など
- 大腸がん:FOLFOX療法、FOLFIRI療法、AVA+FOLFOX療法、AVA+FOLFIRI療法、
Cetuximab+CPT-11療法など
- 肺がん: CDDP+VNR療法、TJ療法など
- 膵臓がん:GEM療法、TS-1療法、GEM+TS-1療法など
- 胆道がん:GEM+CDDP療法、TS-1療法など
- 乳がん: FEC療法、AC療法、DOC療法、PAC療法、CMF療法、Herceptin療法など
(点滴専用ポートの皮下埋め込み) |