閉塞性動脈硬化症で問題となりやすいのが、足の血流障害です。足の場合は、足が冷たいなどの症状や歩いてしばらくするとふくらはぎあたりが痛くなり、休むと症状が治まる(間欠性跛行)、足がすぐつってしまう、などという症状が出現します。また、足の指の色が悪くなって気づかれたり、足に創ができたのちに血流が悪いため創が治りにくいということで来院されることもあります。 この病気が進行すると、血流低下のため安静時の痛みが始まり、さらに悪化すると足が腐ってきます。ひどい感染が合併し全身状態が悪化することもあります。このような場合、腐ってきた部分を切断することで痛みもなくなり、病気も無くなってしまうのですが、高齢の方であると、反対側の足の筋力、全身の筋力の低下のため義足による歩行が可能となる確率は非常に低いので、足の切断後は、ベッド上の生活、寝たきり状態となってしまいます。比較的若い患者では、義足により歩行可能にはなりますが、以前と比べて社会的活動範囲が低下にし、これまでの社会生活が維持できなくなる可能性もあります。 このため、足の切断を防ぐことがこの病気に対する絶対的治療の目標であり、次に症状の緩和により社会生活を改善、維持することにあります。糖尿病の方に多く発生しますが、積極的に血行再建(血流をよくする)をして歩けるよう維持することで糖尿病の運動療法を行えるように維持することも大切な治療目的になります。幸い、足の血流改善のための手術は、それほど侵襲が大きくないので、積極的に手術を受けてもらうことをお勧めします。