グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



季刊「まちだ市民病院クォータリー」

健診で指摘される肝障害~脂肪肝のはなし~


谷田 恵美子医師の写真

消化器内科医師 谷田 恵美子

肝機能異常の原因

健康診断で「肝機能異常」を指摘されたことはありませんか?
ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、自己免疫性疾患、アルコール性肝障害、胆道や膵臓の病気…などがありますが、最近、脂肪肝が増えています。
文字通り肝細胞内に脂肪が溜まった状態で、アルコール性と非アルコール性の大きく2つに分かれます。

脂肪肝になるとどうなるの?

脂肪が溜まった細胞は壊されて肝炎が起きます。壊れたところは硬い線維に変わり、進むと肝硬変になります。肝硬変になると、肝臓が十分に機能できず、肝不全になります。むくみや倦怠感、腹水、黄疸、食道や胃の静脈瘤からの出血といった症状がでたり、肝臓がんができたりすることがあります。肝臓がんの原因としても脂肪肝の割合が増えています。

脂肪肝の診断は?

腹部超音波検査で肝臓が腎臓よりも白く輝いて見えます。CT検査で肝臓が脾臓と同じかそれ以上に暗く見えます。血液検査でAST、ALT、γGTPが上がることがありますが、血液検査ではわからないこともあります。脂肪肝以外の病気がないかを調べる事はとても大切なので、肝機能異常を指
摘されたら必ず病院を受診しましょう。

アルコール性脂肪肝

脂肪肝と診断され、男性では1日60g以上、女性では1日40g以上のアルコールを毎日飲んでいる場合はアルコール性脂肪肝です。
脂肪肝になりにくいアルコール摂取量は、晩酌では男性1日20g以下、女性1日16g以下です。アルコール20gが、実際の飲料のどれくらいにあたるのかは、図1をご覧ください。

図1。アルコール20グラムはこれくらいです。ビール中瓶1本500ml、日本酒1合、焼酎25度100ml、ワイングラス1.5杯、ウイスキーダブル水割り1杯、酎ハイ350ml

図1 アルコール20グラムはこれくらいです

非アルコール性脂肪肝

アルコールは少量、または飲んでいない場合の脂肪肝ですが、肥満・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病が原因です。痩せていても、スナック菓子やファストフードを食べることが多いと脂肪肝の原因になります。

脂肪肝の治療

肝硬変になると肝臓は元には戻りません。脂肪肝や肝炎のうちは元に戻れますが、これを飲めば治る!という治療薬はありません。生活習慣の改善が治療になります。
アルコールの量を減らす、禁酒する、食べ過ぎない、間食は控える、運動習慣を身につける、といったことがとても重要です。体重を適正に保つことはわかりやすい目標になります。
糖尿病や高脂血症の治療をしっかりとすることも大切です。皆さんの今の行動で、将来の肝臓の運命が決まるのです。

図2 脂肪肝の治療は生活習慣の改善です。
今の行動で将来の肝臓の運命が決まります!