【当院のがん治療⑤】原発性肺がん
呼吸器内科 医長/医師 數寄 泰介
ページ内目次
肺がんとは?
(厚生労働省全国がん罹患データ(2018年)より)
※転移(てんい):がん細胞がリンパ節や他の身体の臓器へ飛び火すること
図1 主な部位別がん死亡者数(女性)
図2 主な部位別がん死亡者数(男性)
ステージ分類と治療方針の決定
ガイドラインに基づいて治療方針を検討していますが、患者さまお一人お一人に最適な治療法をご提示できるように町田市民病院では呼吸器内科と呼吸器外科がカンファレンスを行っています。全ての検査を終えられた患者さまとご家族へは、このカンファレンスの結果に基づいて治療方針をご説明しています。
検査について
肺がんを確定診断するための検査
肺がんと診断した場合、他の臓器への転移を調べる検査
治療について
手術療法
- 当院での肺がんに対する手術は、1cm前後のキズ4箇所で行う「胸腔鏡手術」もしくは約8cmのキズと1cmほどのキズを合わせた「ハイブリッド手術」(胸腔鏡と従来の開胸手術、双方のメリットをとりいれた方式)を基本としています。
- 他の臓器への浸潤などを起こしている肺がんに対しては拡大手術も対応しています。
- どのような術式で手術を行うかは肺がんの状態や患者さまの全身状態などによって判断しており、術前のご説明で詳しくお話ししています。私たちは「より安全」「より確実」「より低侵襲(負担の少ない)」な手術を心がけています。
放射線治療
- 当院では放射線治療を行う設備がないため、放射線治療の適応がある場合は他の医療機関に紹介し、治療を依頼いたします。
- 多くの場合、放射線治療後も引き続き当院での診療を行います。
化学療法
- Ⅲ期のほとんどとⅣ期の肺がんの治療は化学療法が主体です。
- 肺がんの化学療法はここ数十年で大幅に進歩しています。以前はがんの細胞を破壊する薬物、いわゆる抗がん剤の治療のみでしたが、2000年代初頭にゲフィチニブという薬剤が出現し、ゲフィチニブが効く患者さまはEGFRという体内の細胞構造を作るための遺伝子(設計図)に変異があるということがわかりました。これ以降、様々なタイプの遺伝子変異が見つかり、それに対する治療薬が出現しました。
- さらにノーベル賞受賞となったニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬が2010年代後半に使用することができるようになりました。
- 薬物治療が多岐にわたるようになりました。最良の治療効果を得るために、がんの診断時にどの組織型のがんか、免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いタイプか (PD-L1タンパク検査)、遺伝子変異があるか、を評価する必要があります。
- 当院では、数種類の遺伝子変異を一度にチェックする検査キットでの検査を行っております。
メッセージ
診療でわからないことがありましたら、当院の呼吸器内科・外科スタッフにご相談ください。