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季刊「まちだ市民病院クォータリー」

【当院のがん治療③】緩和ケア


副院長兼緩和ケア担当部長
医師 櫻本 千恵子

市民病院の緩和ケアは、2022年度から新体制になりました

2022年4月に緩和ケア病棟、2022年7月に緩和ケアチームの医師がそれぞれ交代し、市民病院の緩和ケアは新たな体制で診療を行っています。
当院のがん治療シリーズの第3弾は、緩和ケアについてご紹介いたします。


はじめに

緩和ケアと聞くと「がんの終末期に行くところ」や「モルヒネで眠らせるところ」という間違った怖いイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
緩和ケアとは、「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、生活の質(QOL)を改善するアプローチである」と定義されています。

すなわち、緩和ケアの対象は患者さまだけではなくご家族やご遺族を含み、痛み以外の身体の辛い症状、不安や鬱、仕事や家庭内の問題、生きる意味への問いや死への恐怖なども和らげることを目的としています。(図)

実際に、がんと診断された時から治療と並行して緩和ケアを受けると、QOLが向上し、抑うつが改善され、余命が伸びることがわかっています。

全人的苦痛(トータルペイン)のイメージ

全人的苦痛(トータルペイン)のイメージ図。 トータルペインを形成する要因として、痛み、息苦しさ、だるさ、動けないこと、日常生活の支障などの身体的苦痛、 仕事上の問題、人間関係・経済的な問題、家庭内の問題、相続などの社会的苦痛、 人生の意味、罪の意識、苦しみの意味、死の恐怖、価値観の変化、死生観に対する悩みなどのスピリチュアルペイン、 不安、うつ状態、恐れ、いらだち、怒り、孤独感などの精神的苦痛がある。

病棟スタッフのご紹介

病棟スタッフの集合写真

緩和ケア病棟の写真

緩和ケア病棟

緩和ケア病棟は南棟10階にあり、病室は見晴らしの良い個室となっています。病棟での入院生活は、緩和ケア認定看護師2名を含めたベテランの優しいスタッフが支えます。

病棟担当部長は2022年4月から麻酔科部長の櫻本千恵子が担当しています。麻酔科医のため医療用麻薬や鎮静薬を使い慣れており、ペインクリニック外来で難治性疼痛の患者さまと長年向き合ってきた経験を生かして、真心を込めた診療を行っています。

入院いただける方は頭頚部以外のがんの患者さまで、入院を希望される場合は事前に入棟外来を受診していただきます。

コロナ禍で面会制限があることから、ギリギリまでご自宅で頑張られる方が多いのですが、介護する方が疲れ果ててしまうこともあります。入院しても症状が安定すれば、またご自宅に戻ることや施設に移るお手伝いもいたします。
レスパイト入院という短期間のお試し入院もできますので、療養場所の選択肢の一つとして是非ご検討ください。

病室、庭園、談話室の写真、

入院について

緩和ケア病棟へご入院を希望される方は、まずは主治医の先生にご相談ください。
詳しくは、病院ホームページ内の緩和ケアのページをご覧ください。

緩和ケアチーム

2022年1月から多職種による緩和ケアチームを結成し、緩和ケア病棟以外に入院中のがん患者さまを対象に、痛みを中心とした症状コントロールを行っています。担当部長は外科の篠田知太朗医師で、豊富ながん治療経験を生かしてがん治療医と緩和ケア医との連携を強化する取り組みを行なっています。緩和ケアチームでは、緩和ケア病棟への転棟を希望される患者さまに速やかに緩和ケア病棟に転棟できる仕組みづくりをしています。

複数の医師、看護師のイラスト